青い厚揚げ杯2019 ヤジリン部門に投稿した問題を解説

はじめに

9, 38, 39, 43の問題を投稿しました。
ヤバリンもどきを2問も投稿してしまいすみませんでした。
難易度は、9が「ふつう〜やや難しい」、38が「ふつう」、39が「難しい」、43が「やや難しい〜難しい」想定でした。

問題9

pzv.jp
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この問題のキモ(厚揚げポイント)は、一見応用手筋が必要に見えて実際にはいらないため初心者でも簡単に解けることです。
自明なマスを埋めていくと、SP1さんの配信のように下図の盤面になります。

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SP1さんはここで左上を強引に解いていましたが、8R6Cから8R5Cに線が引けます。
そして、7R5Cから8R5Cへは明らかに手筋が伸びないため、上(6R5C)への線が続きます。

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以降は線を書ける場所が限定されるので、自然と問題が解けます。
大きい数字で黒マスが確定し、応用手筋を使わないけれど解いた感が得られる部分に主眼を置いた問題でした。

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問題38

pzv.jp
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この問題は「ふつう」らしく、気持よく解いてもらおうと思って作成しました。盤面の形状もそこそこ綺麗に揃えたつもりです。
特に、R1, 2(上2段)とR9, 10(下2段)の部分で一気に線が書ける爽快感が一番の厚揚げポイントです。
また、そこに向かうまでの過程も悩むこと無く線が引けるが若干の厚揚げポイントかなと思います。

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問題39

pzv.jp
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ヤバリンです。いいえ、ヤバリンではありません。
まず始めに自明な手を書きます。

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すると、嬉しいことに(?)下の22は応用手筋に似た形になりましたね。
C1はどちらもドットマスなので、応用手筋通りの2パターンと、これの派生系(C4の黒マスをC3に移動した形)2パターン、以上の4パターンを考えれば良いことが分かります。

まずは派生系から見ていきましょう。
これらはどちらも黒マスを置いて自明な線引きをしようとするとすぐ破綻することが分かります。
(それぞれR5C2での分岐とR7C2の少ループ禁)

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次に普段の2パターンについて考えます。
どちらかが破綻するはずなので仮置きをしてしまいましょう。
不正解の手を置くとこうなります。

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R1C5の↓4の黒マスはR9, 10に1つしか置けないので、R2C5とR4C5の黒マスが確定します。
しかし、この時点でR5C4に分岐が生じてしまうので破綻します。
よって、もう一つの置き方が正着となることが分かります。
不正解を引け続けないと少し大変ですが、正解手を進んでも「正解手かな?」となって不正解手を潰しに行くのでロスしても数十秒でしょう。

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先ほどと同様の考察により、R2C5とR4C5の黒マスが確定します。

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少し形は変則的ですが、R(3, 4)C3の→22は応用手筋と同じ考え方により、黒マスが確定します。

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ここで、R3C9が上(R2C9)に伸びてしまうと出口が1つ(R2C6)なので小ループ禁となってしまい、下(R4C9)へと伸びることが分かります。
また、左上も一気に線が引けること(ここ厚揚げポイント!)が分かっているので引いてしまいましょう。

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C9, 10に関しては偶奇則でドットとR8C8からR8C9への線が確定し、R9C3に関しては黒マスが置かれるとR8C3で少ループ禁が発生してしまうためドットが確定します。

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すると、R9C8の←2の黒マスが壁際定理からR9C5, R9C8に確定することが分かります。

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R7C6は偶奇則から下(R8C6)へと伸びることが分かります。
以降流れに従ってマスを埋めていけば、この問題は終了です。

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一見難しいし解いていても難しい問題ですが、本質はここ↓の発展手筋です。
手筋集(ヤジリン) - ペンシルパズルWiki
最初の4パターン考察はやや大変ですが、破綻はかなり浅く済むようになっていると思います。

問題43

pzv.jp
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盤面が風車の様で綺麗(当社比)な問題。
青い厚揚げさんだったら盤面を綺麗にしてくる問題を入れてくるだろうという読みのもと作問しました。
これは難易度「やや難しい〜難しい」想定だったので、間違いなくヤバリンではないはずなのですがなぜか問題39と共に黒い三連星的な悪名を頂くことになってしまいました。

解法ですが、まずは自明な手筋を書いていきましょう。

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R7C1はR7C8の←3から黒マスが確定します。

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次に、考察するパターンが少なそうなR7C8の←3を考えていきます。
通常では、C3, 4とC6, 7の計4パターンを考える必要がありますが、この問題では実はそれぞれ独立して破綻します。(C3, 4は左下の遇奇則から、C6, 7はR3C(6, 7)の↓2↓2の黒マスが置ききれないため)
よって、盤面は以下の様に決定します。

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次に、R3C(6, 7)の↓2↓2の入るマスを考えれば、下図のようになることが分かります。

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同様に、R(4, 5)C2の→2→2も下図の状態まで確定します。

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R2C8はR8C8の↑2から黒マスが確定、C10の未確定マスもR10C10の↑1によりドットマスが確定します。

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R9C9の線はは遇奇則によって上(R8C9)に伸びることが分かります。
これによってR10C1の→1の黒マスが確定するなどして下図の状態まで一気に盤面が進みます。

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そして、ここでこの問題最大の厚揚げポイントです。
R9C4の↑2のヒントを使うのが筋が良さそうなのでこれを頼りに仮置きを進めて行きますが、正着手以外はR1C10の←1が上手くいかずくそぅとなるような配置になっています。
最終的には下図のように解き終わります。

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おわりに

厚揚げ杯2019とても楽しかったですね。
逆張りで選んで頂けたのかもしれませんが、9番6票、38番10票、39番2票、43番5票とそこそこの得票数が得ることができました。
私の問題に投票して頂いた皆様、また厚揚げ杯2019にご参加頂いた皆様本当にありがとうございました。
ちなみに、この記事はSP1さんが39, 41, 43番の問題をまとめて「やってんねぇ」と評価したため、ヤバリンを寄稿してしまい申し訳ございません用の記事のつもりでした。(蓋を開けてみれば……茶番乙)